為替市場 international exchange 2003 5 11

新聞報道によると、

 外国為替市場では、
円高・ドル安が進んでいて、輸出という点では、ドル建ては逆風だが、
一方では、円安・ユーロ高が進んでいて、輸出という点では、ユーロ建ては順風となっている。
 企業によっては、EU向けの輸出が多い場合は、
円高・ドル安と円安・ユーロ高が平行して進む現状では、輸出採算の改善につながる。
ドルに左右されやすかった日本の輸出構造に変化がでてきそうだ。

 この動きは、米国経済の先行き不安と、日本経済への不安もあるでしょう。
それゆえ、消去法的にユーロが買われているかもしれない。
また、欧州の高金利を背景に、ユーロは、おそらく円にもドルにも堅調に推移するかもしれない。
 こうしてみると、米国輸出では苦戦しても、欧州輸出では善戦するということになる。
ただ、単純に喜んではいられない。
これは、日本から見れば、米国で損しても、欧州でカバーできると思えるが、
輸出という点だけで見ているから、そう言えるのです。
 貿易というものは、輸出と輸入で成り立っています。
輸出だけというのは、貿易ではありません。
歴史を見れば、輸出にばかりに偏った場合、どうなったか。
輸入あってこそ、輸出が生きるのです。
 もし、欧州が経済的に失速すれば、日本の製品を買える余力はなくなります。
EUは、フランスが政治的にリードし、ドイツが経済をリードしているでしょう。
この両国とも、財政赤字でなければいいのですが、
もし両国とも財政赤字で、不景気となった場合、問題が出てくるでしょう。
これは、日本と同じような状態になります。
 しかし、日本の場合は、中国という、工場兼消費の国があるから、なんとかなるでしょうが、
EUには、それがありません。強いて言うならば、ロシアでしょうか。
しかし、ロシアにはそれほど、購買力はないでしょう。
 そういうわけで、日本は、輸出をするならば、輸入もしなければ、
欧州が経済的に失速した場合、購買力の低下により、日本にとって、長期的には損になります。
 さて、輸入を国別に考えると、フランスについてですが、特に問題はないでしょう。
もともと農業が盛んな国ですし、文化的にも日本と似ています。
料理という点でも、日本の懐石料理とフランス料理は似ています。
また、日本では、ワインが消費市場に定着しました。
 ドイツについてはどうでしょうか。
ドイツというと、自動車でしょうか。しかし、日本も自動車王国です。
ドイツ料理に関しては、日本人は、あまりなじみがないでしょう。
ワインは、イタリアワイン、フランスワイン、ドイツワインとありますが、
日本人に飲みやすいのは、ドイツワインと言えるかもしれません。
この3国のワインを飲み比べてみる必要があります。
 私は、重厚で渋みのあるワインが好きですので、好みが違いますが、
日本人は、軽くて、ある程度、甘みがあった方が飲みやすいでしょう。
いずれにせよ、輸入あってこそ、輸出が生きるのです。
 アメリカが経済的に失速しても、もともとアメリカ人は陽気ですから、
それほど深刻にならないでしょう。アメリカ人の買い物を見ればわかります。
 問題はドイツ人なのです。過去の、昔の経済的破綻が強く記憶にあるでしょうから、
経済的に失速した場合、過剰に深刻になるかもしれません。
この時、政治的に少し不安定になるかもしれません。
ドイツもアメリカ依存の輸出構造になっているでしょう。
輸出先をロシア、中国、日本にも広げるようにする必要があります。

 さて、今、日本では、市町村合併が盛んになっています。
どの市町村も、財政赤字を抱えていて、財政力の強い市と合併をして生き残ろうと、
計画している市町村も多いです。また合併の是非を住民投票で決める市町村もあります。
市町村合併は、どうしたらいいのか。いい見本があります。
それは、EUです。EUが市町村合併の参考になります。
EUの統合の動きを小さくしたのが、市町村合併に似ています。
市町村合併は、EUがモデルとなるのです。
EUを見ていれば、合併するとどうなるかわかります。